これまでに経験したことのないような大雨・福岡注文住宅

命と家を守る土地選びと防災の視点
「これまでに経験したことのないような大雨」——。 テレビのニュース速報やスマートフォンの緊急速報メールで、この言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
かつては数十年に一度と言われていた異常気象が、今や毎年のように全国各地で発生しています。福岡をはじめとする九州エリアでも、平成29年(2017年)の九州北部豪雨や令和2年(2020年)7月豪雨、そして近年の線状降水帯による記録的な大雨など、甚大な浸水・土砂災害が記憶に新しいところです。
今回は、この言葉が持つ意味と、これから家を建てる・住まいを選ぶ際に知っておきたい「水害に強い土地選び」のポイントを解説します。
1. 「これまでに経験したことのないような大雨」とは?
気象庁が大雨特別警報を発表する際や、記者会見などで用いる定型的な表現です。
- 警戒レベル5相当(緊急安全確保) すでに何らかの災害が発生しているか、直ちに命に危険が及ぶ極めて差し迫った状態を示します。
- 「避難」ではなく「命を守る行動」 この段階になると、屋外へ移動して避難所へ向かうこと自体が命取りになる場合があります。垂直避難(建物の2階以上、崖と反対側の部屋へ退避)など、その場でできる最善の安全確保が求められます。
「まだ大丈夫だろう」という油断が命取りになるため、レベル5が出る前の「警戒レベル3(高齢者等避難)」「警戒レベル4(避難指示)」の段階で確実に安全な場所へ避難することが重要です。
2. 水害リスクを避ける「土地選び」の視点
近年の水害を見ていると、建物の性能だけでなく「どこに建てるか」という立地条件が命や財産を左右することを痛感します。
① 周囲よりわずかでも「小高い場所(微高地)」を選ぶ
水は当然ながら低い場所へと流れます。川の近くでなくても、周囲よりすり鉢状に低くなっている「窪地」や「道路より低い敷地」は、短時間のゲリラ豪雨でも雨水が集まり内水氾濫(冠水)を起こしやすくなります。 わずか数十センチでも周囲より高い場所や、自然堤防などの「微高地」を選ぶことが浸水リスクを大きく下げる要因になります。
② ハザードマップの「想定浸水深」を必ず確認する
自治体が公開している「洪水ハザードマップ」「内水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」は必見です。
- 想定される浸水深:床下浸水程度(0.5m未満)か、2階まで浸かるレベル(3m以上)か
- 浸水の継続時間:水が引くまでにどれくらいかかる地域か これらを確認し、可能な限り着色(浸水想定)のない、またはリスクの極めて低いエリアを選びましょう。
③ 古い地名や過去の地形図を調べる
地名は昔の地形や災害履歴を雄弁に物語っています。
- 「谷」「窪」「池」「沼」「深」「川」「水」などの漢字が含まれる地域
- 昔は田畑や湿地、ため池だった造成地 国土地理院の「重ねるハザードマップ」や「古地図・旧版地形図」を使えば、その土地の本来の成り立ちを簡単に調べることができます。
3. もし低地やリスクのある地域に建てる場合の工夫
通勤・通学の利便性や実家の敷地内など、どうしても水害リスクのある場所に建てざるを得ないケースもあります。その場合は、設計段階での工夫が効果的です。
- 高基礎・盛り土:基礎を通常より高く設計したり、敷地全体をかさ上げする
- ピロティ構造・1階ガレージ:1階を駐車場にし、居住スペースを2階以上に配置する
- 設備の高所設置:エコキュートやエアコン室外機、分電盤、蓄電池などを浸水ラインより上に設置する
- 水害保険の手厚い加入:火災保険の「水災補償」を必ず付帯させ、床上・床下浸水の補償要件を確認しておく
まとめ:これからの家づくりは「過去の常識」を捨てることから
「今までここは一度も水が出たことがないから大丈夫」という経験則は、気候変動が進む現代では通用しなくなっています。
家は一生に一度とも言える大きな買い物です。間取りやデザイン、駅からの距離だけでなく、「災害時に家族の命と暮らしを守れる場所かどうか」を最優先の基準として土地探しを進めていきましょう。

